こまちままのひとりごと

風のように うたが流れていた

 何もしてあげられないまま母を逝かせてしまい、哀しくて悲しくて申し訳なくて、毎日毎日泣きながら、ずっと立ち上がれずにいた10年前
道端の草に座って 何時間も ずっと ずっと あなたを見上げて
小田さんの曲を聴いていた


「緑に輝く はるか遠い日々
 いつでも 風のように うたがながれてた
 
 ことばの意味さえ わからないままに
 覚えた そのうた 口ずさんでいた

 
 わけもなく 一人 寂しい時 そのうたをうたえば
 哀しみは いつのまにか 消えていった

 
 出会いも 別れも 知らぬままに 流れるうたを聴いていた
 なぐさめられて はげまされて そして夢をみた

 
 やがて時はすぎ 人も去りゆけば
 いつしか すべてのこと 忘れられてゆく

 
 でも そのうたをきけば 淡い想いが 小さな出来事が
 あざやかに よみがえる なつかしく

 
 面影さえ もう のこらない この街
 それでも  風のように うたが流れてる」
      (小田和正 「風のように うたがながれていた」より抜粋)


「そんなに泣いてうつむいてばかりの姿を見たら あなたのお母さんはなんて言うのかな? わかっているよ ダイジョウブ。ちゃんとあなたの想いは届いているよ。 いつまでも立ち止まっていないで、さぁ 青い空を見上げてごらん。私はいつだってあなたのことを見ているよ。少しづつ すこしずつ 前を向いて歩いていこう」

 優しく温かい風が流れ そんな あなたの声が私を立ち直らせてくれたあの秋の日。

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 凍てつく冬の寒い日も一人凛とその丘に立ち、大地を見守る孤高の人
 強く優しく美しいその姿に、どれほど勇気づけられたことだろう。
 私もかくあらねばと。
 どんな時でも 子ども達を 真っ直ぐにしっかりと見守っていこう! そう 母がそうであったように。

 
 東北大震災のあの日から、前へ進むことができなくなってしまっていた娘。あなたを見上げて泣いていた。声をあげて泣いていた。
 黄金色の麦畑でみどりの風に吹かれ、白い雲と一緒に、あなたはそっと優しく娘に語りかけてくれた。
「焦らず慌てずゆっくりと。疲れた時には立ち止まり、空を見上げて深呼吸。みんながあなたを見守って、みんながあなたを待っている。一歩一歩少しずつ・・・」

 
 あの丘は 今も白いベールに覆われているのだろうか

 

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 目を閉じると
 3年前の最後に会ったあの日の姿が目に浮かぶ。
 しんしんと雪は降り続き、あなたの姿もかすんで見えた。
遠くに遠くに まるで 白いシルクの布のような雪の中にふんわり浮いていた。、こんなに近くにいるのに、なぜか、ずっとずっとはるか遠くに浮かんでいるように見えた、不思議なほどに。
やがて 急にあたりが明るくなり、深い霧のような白のベールが取りのぞかれたその先に
あなたは 
ひとり 静かに静かに立っていた

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なんと気高くなんと穢れのないなんと美しい姿であったであろう
木の枝も木の幹もしっかり浮かび上がって見えているのに、私には透き通った透明な姿に見えたのはなぜだろう。

しんしんと降る雪は まるで あなたを包み込むように、あなたの周りを雪ホタルが舞っている。ふわふわふわり ふわふわと。
それはまるで
最後の力を振り絞り、枯れた木の枝の先から、あなたのエネルギーを白い丘に放出しているかのようにもみえて 
なぜか
これが 最後かもしれない。もう あなたに会うことはできないかもしれない。
そんな風に思えて、涙がとまらなかったあの冬の日。

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 きっとあなたは 今頃は
あの白い丘に眠り、雪と一緒に大地に溶け込み、春が来るのを静かに待っているのだろう。
 もうじき厚く積もった雪が消え、大地が目覚め春の鼓動が聞こえ始める。 
 あなたの眠るあの丘は
やがて 夏には、黄金色の小麦の海に、白やピンクのジャガイモの花咲く緑の海に、ひまわりもおひさまに向かって顔をあげ黄色い海になり、
大地は輝き続けるのだろう
そして いつでも 優しい風が吹いている

風のように流れる歌は
大地にも
娘にも
そして
私の心にも
いつも静かに響きつづけてくれるだろう


さよならは言わない


ありがとう
あなたに会えたことに
ありがとう
昨日も今日も
そして
明日も明後日も
心から
心から
ありがとう
感謝の想いを
弥生三月 春の風に乗せて あなたの元へ届けます


*長くなってしまい申し訳ございませんが
以前 哲学の木と娘について書いた記事を再掲いたします。
「静かにそっとしてやってください」と、中西先生がおっしゃっていましたのにblogにアップしていいものかと悩んだのですが、どうしても ありがとうを伝えたくて、これが最後と思い書きました。もう 哲学の木について書くことはこれで終わりにしようと思います。

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 東北大震災のショックから中々立ち上がれずにいた娘を、北の大地へ連れて行きました。(当時 娘は大学3年生 仙台で一人暮らしておりました。)
閉ざされた心のドアを開いてほしくて。
一人で立ち上がり、前を向いて歩いていくそのきっかけをつかんでもらいたくて
この木を見てほしくて。
 その木を遠くから見つめていた彼女の目からは大きな涙がぽろぽろこぼれ、それをぬぐうこともせず、じっと見つめていた娘。すると 農作業をしていたおじいさんが
「あの木の下へ行っていいヨ」
と、声をかけて下さった。

 海原のように広がる金色の麦畑の真ん中に 静かに悠に立つその木の下で 空を見上げた娘の目には
いったいどんな世界が見えたのだろう。 
風の音は聞こえたのだろうか。
自分の足で歩いていくのだよと、大地の声が聞こえただろうか。
 私には
「さぁ 立ち上がり前を向いて!」と、強引に背中を押し出すことも何もできないけれど、
「いつだって 母はあなたを見守っているよ。そう この木のように」
そんなことを呟きながら 遠くからじっと見つめてた。

 数年後 この木の周りには ビニールテープが張りめぐされ、ついには 「撮影禁止」の看板が立てられてしまいました。マナーもモラルも持ち合わせない心無い観光客が、畑や作物を踏みにじり、大地にも農家の方の心にも土足で入り込み傷つけてしまったからでしょう。
 あの時、深く皺の刻み込まれた日に焼けた顔で、優しく娘に話しかけてくれたおじいさんにはもう会うことはできませんが、あの日あの時、あの場所に娘が歩いていくことを許してくださったことに心から感謝しています。

 あれから4年の月日が流れ、娘は仙台の大学を卒業し
今 北の大地にわたり緑の風に吹かれながら元気に過ごしています

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見上げる瞳のその先に
いったい何が見えるだろう

時には ちょっと立ち止まり
空を見上げて深呼吸
空は 青く 清かに晴れわたり
みんなの街にもつながって
いつでも あなたを優しくつつむ

見上げる瞳のその先に
いったい何が見えるだろう

明るい明日が見えるはず
上を向いて歩いていこうよ どこまでも
ゆっくり のんびり 少しずつ      



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by komachibbt | 2016-03-01 02:05 | 美瑛・富良野 | Comments(16)
Commented by nonshi24 at 2016-03-01 13:11
想い…
願い…
祈り…
お写真から、そして文章から
こまちままさんの優しいお気持ちが伝わってきました…。
お嬢様を救ってくれた美瑛…
私からも、心から、ありがとうございます。

Commented by day_to_day_pieces at 2016-03-01 15:00
以前写真の記事を読んだ時もとても感動しましたが、先日この樹の悲しい物語を知ってから、またこうやって見ると、胸が一杯になります。
この樹のことで感動した沢山の人に
そして今回のことで胸を痛めた沢山の人の心に
いつまでもこの樹が生き続けて欲しいと思います。
そしていろんな場所でこんな悲しい事もう起こりませんように・・・。
Commented at 2016-03-01 19:38
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ayayay0003 at 2016-03-02 07:10
おはようございます^^
はじめまして、いいねありがとうございました(^^♪
こまちままさんのお写真が素晴らし過ぎて
少々気遅れしています(笑)
私、恥ずかしながらこちらの木のことを知ったのは2年半前に
ブログを初めてからのことです。
正確には、2年前に、北海道のブロ友さんが出来てから知りました!
それからは、度々拝見するようになり
見たことも行ったこともないのに、まるで見知った場所のように感じてました!
今回、このニュースを知りとてもこころがいたみました(;_;)
こちらで、すごく素敵なエピソードを知り感動しました♪
私たちのこころの中には、「哲学の木」は永遠に生き続けると確信しています。
素晴らしい写真と記事、こころにしみいりありがとうございました(^^♪
Commented at 2016-03-02 22:47
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by warutorawa at 2016-03-03 18:21
はじめまして。
「すみやかなすみやかな万法流転のなかに小岩井のきれいな野はらや
  牧場の標本がいかにも確かに継起するといふことがどんなに新鮮な奇蹟だらう」
(宮沢賢治 小岩井農場パート1)
思いは繋がっていきますよ、すみやかに、確かに、ゆっくりと。 ^^)
Commented by komachibbt at 2016-03-04 18:20
かほさん
 コメントを有難うございました。
 哀しいニュースを目にし、年甲斐もなく声をあげて泣いてしまいましたが、自分の想いを吐露しながらしたためているうちに次第に心が落ち着いてきたように思います。

 美瑛のみならず、出会った自然、人、時間 すべてに、今以上に感謝の気持ちを持ってシャッターを切っていかねば、と 改めて思いました。

 かほさんの優しく温かなお気持ち、文章から、行間からも伝わりました。本当にありがとうございました。
Commented by komachibbt at 2016-03-04 18:24
つむぐさん
 早々にコメントをいただきながらお返事遅れごめんなさい。

 ハートのシグナルから
 つむぐさんの優しく温かな想いを感じることができました。
 いつも、お人柄あふれるやさしいお写真に心癒されています。

 優しい想い&コメント いつも本当にありがとうございます
Commented by komachibbt at 2016-03-04 18:32
kotohanoha さん
 やさしいやさしいメッセージ ありがとうございました。
  kotohanoha さんの文を拝見していたら、嬉しいのとありがたいのとで涙が止まらなくなりました。 見ず知らずのお会いしたこともない東北のオバちゃんのことを、ご自分のことのように思って頂けて、本当にありがたくおもいます。

「深い深い  雪の下で  次に向けての準備が  進んでいるのかもしれませんよねぇ  


  命のバトンを  引き継いでもらうように 」

 おっしゃる通り、もう 哲学の木も北の大地も、次のステージへと進んでいるのでしょう。
 さみしいだの哀しいだの、自分のわがままな感情で、マイナスのイメージを引きずるのは、もうおしまいにします。

kotohanoha さんからいただいたメッセージ
優しく温かく深く、心に沁みこみ、しぼんだ心を救ってくださいましたこと
心より感謝しています

ありがとうございました。



 


Commented by hidamaribenchi-me at 2016-03-05 10:59
こまちちゃん おはようございます^^
一週間早いですね、身体と心が置いていかれそうな早さw

3月11日を目前に今、新たに綴る母から娘に送る願い、想い。
綺麗な写真カバーの本を膝に置き、頁をめくっているような時間でした。
季節は流れてもここは時間が止まっています。もう少しゆっくりさせてくださいね。
こまちちゃんらしいブログの世界、アップするごとに素敵になって行きますね。
Commented at 2016-03-05 19:27
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by komachibbt at 2016-03-05 19:37
warutorawaさん
 素敵なやさしいメッセージ ありがとうございました。
 心にしみじみと温かく染み入りました。

 宮沢賢治の世界が好きで、花巻の町を尋ねました。
 のどかで穏やかでほっこりあたたかい賢治ワールドで心癒されました。
  warutorawaさんのお写真
あの時、訪れた空気感を思い出しながら、なんだか懐かしいような、そんな気持ちで、いつも見せていただいております。

 今年は 小岩井の1本桜にも会いに行こうと思っています。
 宮沢賢治もあの小岩井の1本桜を眺めていたのかな?
 なんて 思いながら・・・

 素敵なコメントに心から感謝いたします
Commented by komachibbt at 2016-03-05 19:48
つっちさん
 お忙しい中、いつもながら 、心に染み入るコメントをありがとう。

 本当は 「そっとしておいて もう触れないで」と、そうするべきだったのでしょうけれど、どうしても ありがとう 想いを届けたくて これが最後と思い 哲学の木への想い したためました。

 つっちさまのコメント いっつも
「ありがとう~~~ そうそう そうなのよ、それを伝えたかったのよぉ でも 言葉がでてこなくてもどかしくてぇ・・・」と私が伝えきれずにいたことを、見事に代弁して下さって、とても嬉しいです。 最近は気持ちを表現すべく言葉、文が中々出てこないのよ。(本も読まないし勉強不足だから仕方ないわよね(-_-;)) 
 ありがとうね、

 こちらもフキノトウが顔を出し、春が近づいてきました。
 キ~んと張りつめた美しい冬、大好きだけれど、そろそろ ぽかぽかおひさまの陽だまりモードに切り替えなくちゃね。
 大急ぎで 春の陽だまりショット 探しに出かけなくちゃ

 いつも ほんとにありがとう
Commented by komachibbt at 2016-03-05 20:55
アリスさん
 コメント ありがとうございました。
 私がこの木の存在を知ってから10年ほどになります。毎年、この木の前に立つことで心身浄化され癒してもらいエネルギーをたくさんもらってきました。あのお丘で会うことはできませんが、心の中で手を合わせながら感謝の気持ちを持ち続けたいと思っています。

 アリスさんのブログでアップされるお菓子やお料理の数々。 見ているだけでなんだかほんわか幸せな気持ちんなれます
 オレンジケーキ 愛媛のおいしい伊予柑で私も早速試してみたいと思っています。
 これからも どうぞ宜しくお付き合い下さいませネ
Commented at 2016-03-07 13:37
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by komachibbt at 2016-03-09 15:09
lapisさん
 ご丁寧なコメントをありがとうございました。

 lapisさん 北海道生まれの方なのですね(羨ましいデス( ^^) )
 どこへ行っても何を見ても美しく、悠かでいつも感動と力を貰って帰ってきますが
私たち観光客の感動や楽しい思い出は、農家さんはじめ地元で暮らす方々の忍耐と好意の上があって成立していることに改めて感謝し、今以上に、気を付けて行動しなければと思ったことでした。

lapisさんのblog
アートのような洗練された素敵なお写真をたくさん見せて頂くことが出来、とても楽しみであり勉強させて頂いてもおります
 今後とも、どうぞ、よろしくお付き合いの程、お願いいたします。
 
 
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